オウトウ・さくらんぼ・チェリーの違いは?


    オウトウ
 
植物分類学での木そのものの呼び名で、語源は漢名の「桜桃」から。


   さくらんぼ
 
オウトウの実(果実)のこと
 
語源は「桜坊(さくらんぼう)」の「う」が落ち「さくらんぼ(現在)」になった。
 
その果実のかわいらしさを「さくらの坊(こども)」と見立てて呼んだことから。

   チェリー
 
ノルマン人によりシェリーズ(cherise)となり、イングランドに渡ってシェリー(chery)となり、英名のチェリー(cherry)になった。


オウトウ(さくらんぼの木)の植物分類


  • 植物界→被子植物門→双子葉植物綱→バラ亜綱→バラ科→サクラ亜科→サクラ属→サクラ亜属の果樹です

  • 日本の生食されるさくらんぼは、主に西洋実桜(セイヨウミザクラ)の各品種です
  • さくらんぼには乳白色の白肉種と赤色から暗赤色の赤肉種があり、日本で栽培されている品種のほとんどは白肉種ですが、世界的に生産が多いのは赤肉種です。

栽培が行われている二系統

甘果オウトウ
西洋実桜
(セイヨウミザクラ)
ヨーロッパ系 
酸果オウトウ
西洋酢実の実桜
(セイヨウスミノミザクラ)
中国オウトウ
支那の実桜
(シナノミザクラ)
 東アジア系

さくらんぼ(生)の栄養成分
可食部 100cあたり
(さくらんぼの種類により多少異なります)

  エネルギー    60 kcal
 たんぱく質   1.0 g
 脂質 0.2 g
 炭水化物   15.2 g
 灰分   0.5 g
無 機 質   ナトリウム  1 r
 カリウム  210 r
 カルシウム  13 r
 マグネシウム 6 r
 リン  17 r
 鉄  0.3 r
 亜鉛  0.1 r
 銅  0.05 r
 マンガン  - r
モリブデン  1μg 
ビ   タ   ミ   ン ビタミン A  レチノール - μg
 αカロテン 13μg
 βカロテン 81μg
 βクリプトキサンチン 21μg
 βカロテン当量 98μg
 レチノール当量 8μg
ビタミン E  αトコフェロール 0.5 r
 βトコフェロール - r
 γトコフェロール - r
 δトコフェロール - r
ビタミンB1
(チアミン) 
0.03 r
ビタミンB2
(リボフラビン)
0.03 r
 ナイアシン  0.2 r
 ビタミンB6  0.02 r
 葉酸  38μg
 パントテン酸  0.24 r
 ビオチン  0.7μg
 ビタミンC  10 r
食物繊維  水溶性食物繊維  0.1 g
不溶性食物繊維  1.1 g
 食物繊維総量  1.2 g
 文部科学省
 日本食品標準成分表 2010
 平成22年11月16日報告
             参考

   さくらんぼの特徴的栄養成分


  •  さくらんぼは栄養価の高い果物とはいえませんが、その小さな果実にもたくさんの種類の栄養素が含まれており、その中でもカリウムビタミンA葉酸などがほかの果物よりも多く含まれ、ポリフェノール(抗酸化物質)のシアニジンも含まれています。
  •  中国ではすでに唐の時代から咳止めとして使われていて、さくらんぼの効用を漢方では 『一切の虚症を治し、元気を補う効力があり、皮膚を滋養し、潤す』 とされ、強壮剤としての効用もあり顔色をよくし、美人をつくるといわれ、消化を促進する働きもありますから、体が弱っている病後や疲労のため食欲がないときにもよい食べ物です。

  カリウム
 
細胞内の浸透圧維持・細胞の活性維持を担っていて、ナトリウムを体外に排出促進させ高血圧動脈硬化を予防、さらに利尿作用を発揮してむくみ予防慢性腎炎等にも効果があります。

   ビタミンA
 
レチノールは動物性食品に含まれ、αカロテン・βカロテン・βクリプトキサンチンは主に植物性食品に含まれ生体内でビタミンAに転換される物質で視覚の正常化(眼精疲労・夜盲症)成長及び生殖作用感染予防抗酸化作用抗発ガン作用免疫賦活作用肌荒れ予防などに効果があります。

  •  葉酸
  • ビタミンB9・ビタミンM・プテロイルグルタミン酸とも呼ばれ水溶性ビタミンに分類される生理活性物質で、DNA合成に必要であり細胞の発育機能を正常化生体の組織を形成するなど欠かせない栄養成分であり、ビタミンB12とともに赤血球を作るのにも重要な役割をしています。
  • 葉酸は腸内細菌により、合成されますが、小腸の病理的変化・深酒・喫煙は葉酸の働きを低下させ、また、妊娠や授乳による必要量の増加などは葉酸欠乏症の原因となり、葉酸欠乏の症状として巨赤芽球性貧血舌炎口内炎免疫機能減衰消化管機能異常などが現れます。
   

   その他


  • 甘味成分としてショ糖(スクロース)・転化糖及びソルビトールを含みます
  •  ショ糖(スクロース)
  • ブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)が結合している糖で、砂糖の主成分でもあり、体内の酸や消化酵素により小腸でブドウ糖と果糖に分解し、主にエネルギーとして使用されます。

  •  転化糖
  • ショ糖(スクロース)に酸や酵素の作用でブドウ糖と果糖の結合が分解(転化)され、比率 1 : 1 に混ざり合っている糖のことで、なじみ深い転化糖は蜂蜜です。

  •  ソルビトール
  • グルコース(ブドウ糖)が変換されてできる糖アルコールの一種であり、口の中で“ひんやり”とした感触がある甘味成分で、口内細菌による酸への代謝がされにくいため、虫歯になりにくく、飴・ガム・スナック菓子などの清涼甘味料として使用される他、体内の消化酵素で分解されないため小腸で吸収されず大腸に届くのでカロリーが低くく抑えられ、ダイエット食品などの低カロリー食品の甘味料としても使用されています。 また、大腸の水分吸収を阻害し、吸収されなかった余分な水分を便と共に緩下(多量の場合は下痢)させる効果があるので、下剤浣腸液などの医療用途にも使用されています。 さらに、保湿効果が高いため、化粧品の保湿剤増粘剤として添加されたり、劣化されにくいので、うがい薬練歯磨き粉にも添加されるなど、様々な用途に使用されています。


  • 酸味成分としてクエン酸・リンゴ酸・酒石酸を含みます
  •  クエン酸
  • 主に、柑橘類をはじめとする植物の果実の酸味成分として含まれる有機酸で、清涼飲料水をはじめ各種の加工食品に食品添加物として使用されています。
  • その酸味により、唾液や胃液の分泌を促し食欲を増進させ、さらに、消化吸収もよくなる効果があります。
  • 体内に入った吸収されにくいミネラル分の酸化を抑制し、吸収しやすくさせる効果があります。
  • 体内に入ったクエン酸が分解されると、血液はアルカリ性になり、体の恒常性を保つため尿がアルカリ性になります。 また、痛風の原因物質である尿酸はアルカリ性の尿によく溶け尿酸の排泄を促進させるので、高尿酸血症や、それに伴う痛風尿酸結石の治療薬として使用されています。
  • 血液や体液がアルカリ性になると、酸性体質のドロドロ血液がサラサラ血液に改善される作用があり、成分献血時には抗血液凝固剤として使用されています。 また、正常な酸素の供給が行われるように改善されるため、諸臓器の機能が良くなり、結果、自然治癒力の向上抵抗力の強化を促進させる効果があります。

  •  リンゴ酸
  • 和名は林檎(りんご)から見つかったことから名付けられた有機酸で、爽快感のある酸味を持つため、飲料や食品の酸味料として使用され疲労回復整腸作用があり、抗アレルギー作用もあることが解りました。

  •  酒石酸
  • 酸味のある果実に含まれる有機酸で、特に葡萄に多く含まれており、食品の酸味添加物として使用され疲労回復整腸作用があります。

  •  アミグダリン
  • 主にバラ科植物の未成熟な果実や葉、特に種子(核内の仁)には多く含まれ、果実が成熟するにつれてアミグダリンは果実内の酵素により分解されて消失していきます。
  • アミグダリンが体内で分解された時の産物には殺菌鎮痛抗炎症利尿作用などの効果があり、杏や桃の仁は生薬としてアミグダリンを鎮咳(せき止め)去痰(たんきり)の薬効成分として利用されます。 また、神経痛リウマチにも効果があり、正常な皮膚に塗布すると局所麻酔(かゆみ止め)の作用効果もあります。 さらに、アミグダリンは体内で血液の酸性とアルカリ性のバランスを整えて血液を浄化し、血行を促進させ新陳代謝をよくし、免疫機能を向上させるため生理不順更年期障害などにも効果があるとされています。

  •  シアニジン
  • さくらんぼ・ブルーベリーなどのベリー類・葡萄・りんご・すももなど赤色液果類の果実皮に多く含まれ、pH3で、pH7-8で、pH11で色に変化する有機化合物の一つで、糖などが結合するとアントシアニン(抗酸化物質)がつくられます。
  • また、シアニジンには抗酸化抗ガン抗炎症作用があり、シアニジンの食事摂取により肥満糖尿病の抑止効果があります。

  •  アントシアニン
  • ポリフェノール(抗酸化物質)の一種で、植物界において広く存在する果実や花の赤・青・紫を示す水溶性色素です。

  • アントシアニンの強い抗酸化作用
  • 悪玉コレステロールの生成を抑制し、動脈硬化の発症を抑制します。
  • アレルギー反応に関わる酸素の活性を阻害し、アレルギー伝達物質の遊離を抑制するため、アレルギーに対する効果があります。
  • アレルギーの一種であるアトピー性皮膚炎に対する抑制効果があります。 (2005年)

  • アントシアニンの生理作用と効果
  • 網膜のロドプシン再合成作用の活性化と網膜毛細血管の抵抗性を増強させる作用があります。
  • さらに全身の毛細血管保護効果と増強、毛細血管の浸透圧を減少させる効果の増強作用もあります。
  • 白内障の水晶体混濁の原因であるタンパクを防ぐ作用があります。
  • 強い抗酸化作用により過剰な活性酸素の除去と増加を抑制する作用があります。
  • 胃液の分泌を増し潰瘍になりにくくし、ガン細胞増殖に関与する酵素を阻害する抗潰瘍活性があります。
  • コラーゲンに直接作用してコラーゲン基質を強化し、コラーゲン分解酵素を阻害する結合組織の強化作用があります。
  • 以上の作用から眼精疲労網膜症末梢血管病関節炎こりなどに効果があります。 (2000年)
  • ※種類により果肉内まで暗赤色になるさくらんぼ(当園では早生種の紅さやかと晩生種のビックサミット)は果皮から果肉までアントシアニンが含まれます。